作り物だからこそ怖い【ミッドサマー】
2020年に公開されて話題を呼んだ本作で、ジャンルとしてはヒューマンホラーでしょうか。
絶対に恋人と見てはいけないや制作会社がカウンセリングを無料で行っていたなどとにかく普通じゃない!!
では、なにがそれほどまでに私達を恐怖させたのかを感想を交えて他の考察とは少し違った形で見ていきたいと思います。以降ネタバレを含みますので未視聴の方は気をつけてください。
今回、私が全体を通して感じたのは「全体的に作り物感が凄いな」でした。
もちろん、映画だから作り物なのは当たり前なのですが、逆に言えば映画の腕の見せ所といえるポイントの一つですよね。作り物をリアルに見せてその世界に没頭させる。
ミッドサマーは余りにも型通りで逆に作り物感が凄かったです。余りにも綺麗に作られた料理、飛び降りた死体は鮮明で肉という感じや極め付けの最後の熊の被り物などなどです。
しかし、これには初めのベレのセリフに答えがあります。
「僕たちは役者だ。この7日間は演じる。」
そう、全ては演技で映画で作り物なのです。
ここで、一つの提示があるわけです。
逆に私たちの現実は現実なのでしょうか。
みんなが嘘偽りなく絶対の自分を全力で表現しているのかです。
それは不可能ですし、みんなが少しずつプロトタイプの演技をしているのでしょう。
最後にこの映画は監督が失恋したことが原因だそうですよ。最も最高の自分を表現しているその関係がなくなった思いを発散する様にこの映画を作ったのだとしたら、何故か怖くて病み恋人と別れようという気になってしまうそんな映画ができたとしても不思議ではないですね。